国際機関日本アセアンセンター(AJC)は、ベトナム商工省貿易振興庁(VIETRADE)と共催で、後発ASEAN(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)の食品・農産物業界、輸出関連事業者を対象とした持続可能な食品包装の最先端と日本の食品包装に関する輸入規制について紹介するセミナーを開催しました。 ASEANから日本への食品輸出の多くがお菓子など加工食品や、冷凍フルーツなど農産物であることから、オンラインからも多くの参加がありました。
【エグゼクティブサマリー】
2024年3月15日にベトナム貿易振興機関と共同で、持続可能なパッケージングソリューションに焦点を当てた重要なイベントをホーチミン市で開催し、オンラインでも同時配信しました。このハイブリッドセミナーは、日本およびCLMV諸国の業界関係者200名以上を集め、日本への農産物輸出に影響を与える革新と規制変更について議論しました。
【目的と目標】
持続可能性が極めて重要視される現代において、「CLMV食品包装の未来」イニシアティブは、農業食品部門におけるエコフレンドリーなパッケージングの緊急性を認識し、日本の厳格な市場へのアクセスに必要な持続可能な実践を探求するこの画期的なイベントの詳細を報告します。このイベントは以下を目指しています:
- 日本の厳しいパッケージング規制について参加者に教育を提供。
- 持続可能なパッケージング技術と実践を展示。
- 日本とCLMV国の関係者間での協力を促進
【主なポイント】
- 厚生労働省の講演者より、2025年6月1日に経過措置が終了する食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度(現在は経過措置中のため改正法施行以前に製造されたものに関しては施行前の規制のみが対象)についての説明がベトナム、またASEAN諸国の容器包装関係者、輸出食品業界関係者に向けて行われました。ポジティブリスト制度では、安全が担保された食品用器具・容器包装のみ使用が認められ、規格が定まっていないものの販売等が禁止されます。輸入物も対象であるため、また、ASEANからの他の輸出先と比較しても日本の容器包装規定は厳しいため、丁寧な説明が行われ、参加者からも「理解が深まった」といった声が寄せられました。
- 日本食品包装協会常務理事の坂巻千尋氏よりグローバル・日本のサスティナブルパッケージのトレンド、最新テクノロジーや環境対応包装を推し進めるEUと日本市場の相違点などについて説明がありました。ベトナムにも展開している AEON TOPVALU の担当者も登壇し、ベトナムでの循環型農業の実践を紹介しました。多様な視点からサスティナブルパッケージを語ることで、参加者の視野の広がりを期待します。
- パックスタイル株式会社による講演とミニワークショップでは自社のバガス(サトウキビの搾りかす、廃棄される麦や竹を素材とした材質でプラのみの容器と比べると格段に環境負荷が軽く、コンポストも可能)からできた容器包装に参加者たちが実際に触れながら自分たちはどのような容器をデザインするかといった活発な意見交流が行われました。
【成果と影響】
- 参加者は日本のパッケージング基準に関する重要な理解を深めました。
- 日本とCLMV国の企業間で新たな協力の機会が明らかに。
- 持続可能な素材と実践への意識が向上。
【今後の展望】
AJCは今後とも各国の貿易・投資アタッシェと協力し、ASEAN製品のグローバル市場進出を支援する能力開発事業を展開していく所存です。また今後、ASEAN地域で日系企業が工場や資材調達(プラの代替として広まりつつあるバガスなど)を開拓する機会の増加が予想されます。日本とASEANの持続可能な未来のため、両地域の橋渡しとなるような活動をより促進していきます。
イベントについて
日時:2024年3月15日(金)14:00-16:30(ベトナム現地時間、GMT+7)
*現地参加者のみ3月16日(土)工場見学ツアー
会場:ベトナム・ホーチミン市、グランドホテルサイゴン
主催:国際機関日本アセアンセンター、ベトナム商工省貿易振興庁(VIETRADE)
参加者数:160名程(現地参加)、86名程(オンライン)