日本アセアンセンターは、タイ国政府観光庁、フィリピン観光省、チャイナエアライン(中華航空)とASEAN地域の観光とフライトコネクティビティの情報を提供するセミナーを共催しました。
バックグラウンド
記録的な訪日外国人数が示す好調なインバウンド観光市場に対して、日本人の海外渡航はパンデミック以前と比較すると完全には回復をしていない状況です。複数ある要因に挙げられるのが、需要の高いインバウンド市場の先行予約による航空座席の供給の少なさと、航空運賃の高騰です。
政府観光局は、多様なフライトの選択肢を提案することで若年層を含めた幅広い層の旅行者に向けてのアプローチを試みています。その背景を基に、旅行商品の造成や販売促進に役立ててもらうことを目的に、旅行会社の仕入企画や商品開発の担当者を対象とした、ASEAN諸国の観光情報と従来のルート以外に拡大したフライトコネクティビティを紹介するセミナーを実施しました。
ハイライト
- タイ国政府観光庁は、基本情報及び日本人の渡航状況、エリアを分けた観光地情報、その他のスポット紹介などがされた。
- フィリピン観光省からは、基本情報に加えて、テーマや地域別に分けたフィリピン観光の楽しみ方が紹介された。
- 日本アセアンセンターはカンボジア観光の概要、試験運用が開始されたオンライン入国手続き、2023年にオープンしたシェムリアップの新空港などの案内をした。
- チャイナエアラインは、日本線に導入されている機材、スケジュールや空港設備の紹介に加えて、ASEAN加盟国のほぼすべての国への乗り継ぎが可能な(コードシェア便含む)充実したネットワークや乗り継ぎプログラムの紹介がされた。
参加者の反応
セミナー後のアンケートでは
- 回答者の96.4%がセミナーが今後の旅行商品の販売促進の参考になったと回答
- 回答者は紹介された内容の活用に前向きな姿勢であった。商品の造成と販売促進についてはタイ(89%)、フィリピン(82%)、カンボジア(82%)、台湾での乗り継ぎ(92%)が検討をすると回答。
重要なポイント
旅行商品を造成するにあたりフライト席数の確保が課題となる旅行会社に向けて、直行便やASEAN域内での乗り継ぎだけではない、フライトコネクティビティの案内ができました。参加者からは、「直行便がない都市へのアクセス」「乗り継ぎを活用した複数都市に滞在する周遊旅行」「直行便の席がない場合も安くフライトが手配できる」という利点が挙げられた一方、「移動時間の長さ」「同日乗り換えの制限」などが不利点として指摘されました。
今後の展望
海外旅行の販売促進にあたる参加者が懸念する今後の要因として、「円安」「燃油」「物価高」が上位3つに挙げられ、全てがコストに関わるものでした。旅行スタイルが広がり、費用・時間・クオリティなど重要視される点が異なる消費者に向けてバラエティに富んだ商品開発が求められるなか、政府観光局や航空会社からの旅行会社への定期的な情報のアップデート、積極的なデスティネーションのPR、メディアへの露出などが求められます。
まとめ
セミナーは、日本の海外旅行に影響を与える問題を効果的に取り扱い、拡大したフライト接続性と商品開発戦略を通じて実用的な解決策を提案しました。今後は、進化する消費者の要求を満たし、ASEAN観光の持続可能な成長を維持するために、継続的な協力と積極的な対策が不可欠となります。
イベントについて
ASEAN デスティネーションアップデートセミナー
日程:2024年6月25日
参加者:33名(旅行会社)